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概要

広報えびな

がい者はお金を生み出せないかもしれません。でも、何事にも一生懸命に取り組む姿を見て、私はいつも勇気をもらいます。頑張ろうと思います。私は障がい者に生きる価値がないと言う人たちに言いたいです。「もしも自分の子どもが障がいを持って生まれて来たら、もしも自分の身内がある日突然、事故や病気で障がい者になってしまったら、今と同じ事が言えますか?」と。 事件の後、障がい者の人たちはどのような気持ちで生活しているのでしょうか。町を歩いている時、電車に乗っている時、自分の周りにいる大勢の人たちの中にも、自分の事を「死んでしまえばいいのに」と思っている人がいるかもしれないと思ったら、大変な恐怖なのではないでしょうか。 多くの健常者にとっては、障がい者の人は遠い存在だと思います。私も妹がいなかったら、一生関わりを持たなかったかもしれません。最近では、グループホームという形で地域の中で暮らす障がい者の人たちも増えてきました。でも、まだまだ地域の住民に受け入れられないという現実もあります。昔、障がい者施設を建てる時、地域の人々が障がい者に会う際には、妊婦さんはお腹に鏡を付けて会ったそうです。生まれて来る子どもに障がいがうつらないようにそうしたそうです。今はそこまでの事はないけれど、よく理解されていない点はたいして変わっていないのかもしれません。 もっともっと、健常者と障がい者の交流が深まれば良いと思います。例えば、子どもの頃から学校などで障がいを持った友達と遊ぶ機会が全員にあれば、今回の事件の時だってその子の顔を思い出し、他人事とは思わなかっただろうし、犯人に同調なんかしないで、被害にあった人たちや、そのご家族の悲しみに寄り添えたのではないでしょうか。 相模原事件の犯人は、「家族がかわいそうだ。」と言いました。確かに普通の子育てより何倍も大変な子育てだろうと思います。私の母も明るくしていますが、妹が小さい頃は、妹の将来に不安を感じてよく泣いていたそうです。今でも、「自分たちが死んだ後のことは、いつだって心配だ。」と言います。だからといって、妹が死んでしまったら楽になるのでしょうか?まったく違います。悲しみに暮れ、生きる望みを失くすと思います。妹は、家族の癒しであり、世界でたった一人の大切な存在だからです。母は、妹が小さい時から近所の人たちに妹の事を打ち明けてきました。妹を理解してもらい、一人で困っていたら助けてもらえるようにと考えたからです。この世の中は、障がい者にとってはまだまだ生きにくく、妹の人生は私の人生よりもずっとハードな障害物競走のようなものになるだろうと思います。妹は時々、思い出したかのように「お姉ちゃん。大人になったら、一緒に暮らしてくれる?」と聞いてきます。小学生なのに、自分の将来に不安を感じているのです。 私には、この事件を通してより一層強くなった願いがあります。妹のような障がいを持った人たちが、希望を持って自分の人生を歩いていけますように。私の両親のような、障がいを持った人を育てている人たちが、安心して我が子より先に旅立てますように。そして、私のような人たちが、父母亡き後も、障がいのある兄弟を支えていけますように。7 広報えびな2018年2月15日号